卒論で「結果」の書き方って?
卒論での「結果」部分は、実施した実験や調査の結果を整理して示す重要なセクションです。この部分では、データや実験結果を簡潔かつ客観的に提示します。自分の主観や解釈は避け、観察した事実をそのまま伝えることが求められます。また、「結果」部分は、実験方法や調査の進め方を説明する「方法」部分とつながっているため、結果がどのように得られたかを明確にすることが重要です。
「結果」の書き方の基本構成
実験・調査の結果を整理する
まず、得られたデータや実験結果を順序立てて整理します。例えば、数値データを示す場合は、表やグラフを使って視覚的に分かりやすく示すことが重要です。
結果が数値的なものであれば、平均値や標準偏差、統計的な検定結果(p値など)を記載します。
定性的な結果(例えば、アンケート調査やインタビュー)であれば、得られた回答内容を示し、特に注目すべき点を簡潔にまとめます。
図表を活用する
図表(グラフや表など)は、結果を分かりやすく示すための重要なツールです。表やグラフにはタイトルをつけ、何を示しているのか一目で分かるようにします。
グラフは、数値データの傾向や相関関係を視覚的に示すために有効です。例えば、折れ線グラフや棒グラフを用いることがあります。
表は、詳細な数値を示す際に便利です。結果が多くの数値を含む場合は、表形式で示し、本文中でそのポイントに言及します。
データの説明
各データや図表に関連した説明を簡潔に記載します。図表の説明には、読者が何を見ているのかを理解できるように心掛けます。
例えば、「図1に示されているように、Xの値が増加するとYの値も増加する傾向が見られます。」といった形で、データから読み取れる傾向やパターンを簡潔に説明します。
統計的な処理の結果(あれば)
もし統計解析を行っている場合、検定結果や相関係数なども記載します。例えば、t検定やANOVA、回帰分析などを用いた場合、その結果(p値など)を示します。
例えば、「t検定の結果、グループAとグループBの間に有意差があることが確認されました(p < 0.05)。」のように具体的な数値を記載します。
結果の解釈を控える
「結果」部分では、あくまで得られたデータを客観的に記載します。データを解釈したり、考察を行うのは次の「考察」のセクションで行います。結果部分で自分の解釈を述べないよう注意しましょう。
「結果」の書き方の具体例(仮テーマ: 観光業の地域経済への影響)
4. 結果
本研究では、観光業が地域経済に与える影響を分析するために、〇〇市の観光客数と地域のGDP成長率の関係を調査した。以下に、調査結果を示す。
4.1 観光客数と地域GDPの関係
図1に示すように、観光客数が増加すると、地域GDPの成長率にも顕著な影響が見られることがわかる。特に、観光客数が50万人を超えた年に、地域GDP成長率が大きく上昇している(図1参照)。
図1 観光客数と地域GDP成長率の関係
4.2 観光業の雇用創出効果
表1に示したように、観光業の売上高が増加するにつれて、地域内での雇用創出数も増加する傾向が見られる。観光業が最も成長した年度(2018年)の雇用創出数は前年比で15%の増加を記録した。
年度 観光業売上高 (百万円) 雇用創出数 (人)
2016 100,000 1,200
2017 120,000 1,350
2018 150,000 1,550
2019 160,000 1,600
表1 観光業売上高と雇用創出数の関係
4.3 統計的分析結果
統計的には、観光業の売上高と雇用創出数には強い正の相関関係が見られた(相関係数 r = 0.85, p < 0.01)。また、t検定の結果、観光業が成長することで地域の雇用が有意に増加することが確認された(p < 0.05)。
ポイント
データの提示:グラフや表を使って視覚的に結果を提示。
結果の説明:各データやグラフの要点を簡潔に説明。
解釈を控える:解釈や考察は「考察」部分で行い、結果部分では純粋にデータを記載すること。
結果部分は、データをわかりやすく整理し、読み手が理解しやすいようにすることが大切です。