卒論の書き始めって何を書けばいいんだっけ?
卒業論文(卒論)を書く際に、多くの学生が最初につまずくのが「書き始め」です。タイトルを決め、資料を集め、何となく内容は考えているものの、「いざ書こうとすると手が止まる……」という経験をした人は多いのではないでしょうか?
卒論の書き始め、特に「序論(はじめに)」の部分は、読者に研究の目的や意義を伝える重要な役割を持ちます。本記事では、卒論の書き出しとして何を書くべきか、どのように構成するとスムーズに進められるのかを解説します。
1. 「序論」の役割とは?
卒論の書き始めとなる「序論」は、論文全体の導入部分にあたります。ここでは、以下のポイントを明確にしておくことが重要です。
研究の背景(なぜこのテーマを選んだのか?)
問題意識・課題(どんな問題を明らかにしたいのか?)
研究の目的(何を解明しようとしているのか?)
研究の方法(どのようなアプローチで研究するのか?)
論文の構成(各章で何を述べるのか?)
この5つの要素を押さえて書き始めることで、読者(教授や査読者)にとってわかりやすい卒論の導入となります。
2. 書き出しの具体的な流れ
① 研究の背景を説明する
まずは、研究の背景や問題意識を述べます。ここでは、社会的な課題や学術的なトピックを提示し、「なぜこの研究が重要なのか」を示しましょう。
例 1(社会的な背景を強調する場合):
「近年、日本の労働環境において長時間労働が問題視されており、特に若年層の離職率が高まっている。この問題は、日本の経済成長や社会全体の持続可能性に影響を与える可能性がある。」
例 2(学術的な背景を強調する場合):
「マーケティングにおける消費者行動の研究は数多く行われてきたが、SNSの普及により従来の購買意思決定プロセスに変化が生じている。特に、インフルエンサーの影響力については明確な理論的枠組みが確立されていない。」
このように、研究の背景を簡潔に説明することで、「なぜこのテーマを選んだのか?」が明確になります。
② 問題意識・課題を提示する
背景を説明したら、次に「具体的にどんな問題があるのか?」を示します。
例 1(社会的問題の提示):
「若年層の離職率が高まっている理由として、ワークライフバランスの欠如が指摘されている。しかし、企業の取り組みがどの程度効果を上げているのかについての研究は十分に行われていない。」
例 2(学術的課題の提示):
「従来の購買意思決定モデルはテレビ広告や口コミを前提としていたが、SNS時代における消費者行動の変化を十分に説明できていない。特に、インフルエンサーの影響力を定量的に測定する研究は限られている。」
ここでは、「研究の背景」で示した問題が、具体的にどのような課題として存在しているのかを明確にすることが大切です。
③ 研究の目的を述べる
次に、この研究で何を明らかにするのかを記述します。
例 1(社会的問題へのアプローチ):
「本研究では、若年層の離職率とワークライフバランスの関係を実証的に分析し、企業の取り組みがどの程度効果を持つのかを明らかにすることを目的とする。」
例 2(学術的なアプローチ):
「本研究の目的は、SNS時代におけるインフルエンサーの影響力を定量的に測定し、購買意思決定プロセスにおける新たなモデルを提案することである。」
ここでは、「この研究を通じて何を明らかにするのか?」を明確に述べます。
④ 研究の方法を説明する
研究の目的が明確になったら、どのような方法で調査・分析を行うのかを簡潔に説明します。
例(研究方法の記述):
「本研究では、SNS上の購買行動を測定するために、アンケート調査とアクセス解析を組み合わせた手法を採用する。また、データ分析には統計的手法を用い、影響力の強さを定量的に評価する。」
この部分では、研究のアプローチを簡単に示し、論文の方向性を明確にします。
⑤ 論文の構成を説明する
最後に、論文全体の構成を簡単に紹介します。
例(論文構成の説明):
「本論文は5章構成となっている。第1章では研究の背景と目的について述べる。第2章では先行研究を整理し、本研究の位置づけを明確にする。第3章では研究方法について詳述し、第4章では調査結果を分析する。最後に、第5章で研究のまとめと今後の課題を示す。」
このように章構成を説明することで、読者が論文全体の流れを理解しやすくなります。
3. よくあるミスと注意点
❌ 背景説明が長すぎる
→ 序論は簡潔にまとめることが大切。背景説明が長すぎると、何を研究するのかが分かりにくくなります。
❌ 研究目的が曖昧
→ 「○○について調べる」のような漠然とした表現ではなく、「○○の影響を明らかにする」「○○の要因を分析する」など、具体的な目的を書くことが重要です。
❌ 研究方法の記述がない
→ 研究の進め方が見えないと、論文の信頼性が低くなります。簡単でもよいので、どのような手法を用いるのかを書きましょう。
4. まとめ
卒論の書き始めである「序論」では、以下の流れで記述するのが理想的です。
研究の背景を説明する(なぜこのテーマを選んだのか?)
問題意識・課題を提示する(どんな問題があるのか?)
研究の目的を述べる(何を明らかにするのか?)
研究の方法を説明する(どのように研究を進めるのか?)
論文の構成を説明する(各章で何を述べるのか?)
この流れに沿って書けば、スムーズに卒論をスタートできます。最初の一歩をしっかり踏み出して、説得力のある論文を完成させましょう!